はじめに
研究者につきまとうタスク、その一つに申請書というものがあります。
研究者を目指すにあたり、避けては通れず、かつ見逃されがちな要素である申請書。
申請書に苦しむ人は多いのではないでしょうか。
僕もその一人であり、国語が苦手で理学部に入ったのにまさかの目指す先でまさかの国語の問題が立ちはだかってくるとは。。。。
近年、博士課程の学生の支援は充実しており、学振(DC)以外にもJSTの事業による学内の助成金、卓越大学院プログラム、JASSOなど元々あったものも強化され、新しいものも追加されつつあります。
そして、これらの支援を受けることができれば、博士課程の生活費はほとんど賄い、かつ授業料の援助も受けることができます。
私自身、学内の申請書にいくつか直面し、申請しています。
学振との違い
基本的には学内の申請書は学振と似ていることが多いです。
その理由としてはやはり、学振に通ることが最終ゴールであるからです。
また、違うフォーマットでかくとそれだけ学生の負担になるので、学振のフォーマットに合わせ、ブラッシュアップしていける仕組みにしていることが多いです。
選考基準は主に研究内容と、本人の素養と将来性にあります。
これらをきちんとアピールし、人に伝わることが重要になってきます。
決して、綺麗で文化的な文章を書く必要はありません。
学振と学内申請書で似ている点が多いですが、異なる点もあります。
それは、学内申請書で募集している人材と学振で募集している人材が少し異なることです。
これは、申請書にどのような人材を募集しているかが書いてあるので、それに合うように記載する必要があります。
また、学振と違う点の最も大きな点は、読む人の違いです。
学振では申請分野があり、ある程度専門性のある人が読みます。
しかし、学内申請書では、基本的には学内の人が読むため、生物系でも動物の研究内容を植物の人が読むことがあります。
さらに、学振よりも学内申請書の方が一人の審査員に回ってくる申請書が多いということもあります。
つまり、より一般的な内容にし、専門分野が異なっていても魅力が伝わるようにすること。
そして、ぱっと見で内容と魅力が伝わるようにすることです。
基本的に審査員の人は申請書を読む気がないものだと思い、審査員に興味を持たせ、”読ませる”申請書にする必要があります。
図やハイライトを適切に使い、ぱっと見で重要な部分が何なのかを伝わるような文章にしましょう。
書き方のコツ
申請書のコツは論理性と具体性です。
論理性とは、読み手が欲しい情報が欲しいタイミングと順番でくることです。
つまり、文章と文章がつながり、読み手がなんとなく予想してくる内容を記載することで論理性をもたすことができます。
例として、
“私は大学時代に複数の学生団体に所属し、それぞれの団体で運営を行ってきました。そこで私は、リーダーシップと人と円滑に物事を進める力を養いました。”
団体運営→リーダーシップと円滑に物事を進める力
といったように、文章同士が違和感なく、ギャップなく繋がることが論理性があると言えます。
次に具体性ですが、先ほどの例に具体性を追加すると、
“私は大学時代にイベント企画や学生同士の交流会を企画する学生団体に複数所属し、それぞれの団体で自らが中心となってイベントの運営を行ってきました。そこで私は、リーダーシップと人と円滑に物事を進める力を養いました。”
具体性を加えることによって、自分がその団体の何をどのようにして関与したか、そしてそれによってどのような能力を得たのかの論理性が増します。
しかし、この二つを求める上で重要な問題は、申請書の文字数制限です。
文字数制限はかなり厳しく設定されており、具体的に紹介しようとすると文字数が足りなくなります。
だからこそ、内容を入れ込みたいがゆえにこの二つの要素を蔑ろにしがちです。
簡潔にわかりやすく、内容をまとめる。
というのと、論理性と具体性の矛盾が申請書を書く際の重要な問題となってきます。
このバランスを考える上で重要なのは、その申請書でどのような人を採用したいのかです。
大体の申請書にはどの項目を書いて欲しいのか、どのような内容を書いて欲しいのかが書いてあります。
その項目が自分の書いた文章でどこに当たるのか、明確にわかる必要があります。
読み取って、汲み取ってではなく、わからせるぐらいのはっきり差が必要です。
これを重点に置けば、どの文章が必要で、どの文章がいらないのかが明確になってきます。
書き方の方針
申請書を書く際にはまず、書きたい内容を箇条書きにした後、文章を分量をとりあえず考えず書きます。
そして、論理性と具体性を意識し、内容を補充していきます。
大体この段階で内容が大幅にオーバーするため、文章量を削っていく作業を行います。
文章の言い換えや、言い回しを変えたりし、文字数ちょっとオーバーまで削りましょう。
一旦その段階で誰かに申請書を見ていただきましょう。
この段階が非常に重要です。
早め早めに人に申請書を見てもらうという工程を踏むことによって、方針の大きなずれを防ぎ、自分なりの申請書の書き方を学ぶことができます。
人に見せるのはハードルが高く、プライドが邪魔してくることが多いですが、ここは思い切ってプライドを捨て見せましょう。
大体成績優秀な人ほど、申請書を一人で考えて人にみせるのが遅れる傾向があります。
他の人からフィードバックをもらったら、それを元に改めて自分で読んでみて、何が改善すべき点だったのかを再認識し、書き直しましょう。
人に見てもらうという段階が最も重要な段階です。
誰しも最初から申請書が完璧に書ける人はいなく、またダメ出しは自己否定ではなく、その人のもっとやれるというアドバイスだと受け取りましょう。
まとめ
申請書は人に読んでもらうためのものです。
決して審査員が読んでくれるだろう、読んでくれないなんておかしいという慢心は抱いてはいけません。
人に読んでもらえないのであれば、読ませる文章を書きましょう。
どれだけいい内容が書いてあっても、それが人に読んでもらい、伝わらなければ意味がありません。
よく、申請書でもらえる金額をトータルし、それを行換算してみて、その一行にどれだけの価値があるのかを計算してみましょうとあります。
これは、自分の書いた文章がそれだけの価値を持って人に伝えたいかどうかを判断する明確な基準になります。
価値がそれだけないと思うのであれば、その文章は書き換える必要があるかもしれません。